草の根の仙台七夕

暑い日々が続く。今夏はとりわけ東北学院高校の甲子園初出場の話題が沸騰して暑さに拍車をかける。さて、仙台七夕が始まった。8月6日~8日、仙台市内は七夕飾りで賑わいを見せる。昨年は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために中止であったが、今年は規模を縮小して、観光客は県境を跨ぐことなくとの御触れである。

(荒町通りを七夕飾りが覆う)

横浜に住んでいたころは、なるべくこの東北の風物詩に併せて、仙台出張があることを楽しみにしていた。観光客で賑わう一番丁通の立派な七夕飾りを見て、東北の夏を堪能した気分に浸っていた。ところが、仙台に住んで2年半を迎えるが、仙台市民は、たとえ小さな七夕飾りであろうとも、心を込め、願いを込めて一生懸命に作り、人目に触れる通りに飾ろうとする。

(民家の窓から吊るされた七夕飾り。真ん中は、宮城県のゆるキャラむすび丸君か)

東北学院大学土樋キャンパスと建設中の五橋キャンパスの近くに、いまだ町人文化漂う「荒町商店街」という通りがある。もちろんラーメン屋や古着屋など学生たちが好んで通うサブカルチャルな店が多いこともこの通りの特徴だ。地元紙の「河北新報」でも取り上げられたが、この商店街の七夕飾りの中に、本学の留学生と東北大学の留学生がそれぞれ七夕飾りを作成して飾ることになった。

(東北学院大学が留学生と一緒に作成した七夕飾り。なんと礼拝堂のステンドグラスの写真入り)

仙台七夕は、それこそ藩祖伊達政宗の時代から伝わる行事である。私は北海道出身なので、北国の人びとが短い夏(近年は温暖化のために短いとはいえないが)に、盛大に花火を上げ、派手な七夕飾りする理由がよくわかる。そこには、天変地異、たとえば、冷害による凶作や不景気に対する恐怖からの解放願望が潜んでいる。時代は変ろうとも、文化は存続するのが地方の特色である。

(日東写真館の古い看板には学院大の文字が)