瀬古利彦さんをお迎えして

仙台も梅雨入りかと思われた本日、瀬古利彦さんをお迎えして、大学後援会主催「保護者のための教養セミナー」が押川ホールにおいて、人数限定、感染予防を徹底して開催された。もともと、この講演会は昨年度開催の予定であったが、コロナ禍により延期されていたものである。

(身振り手振りで聴衆を話題に引き込んでいく)

 

瀬古利彦さんといえば、往年のマラソンランナーであり、宗茂、宗猛兄弟と並んで日本の男子マラソン界を牽引されてきた方であり、1980年のモスクワオリンピックに参加していれば、「金メダル」との呼び声が高かった方である。講演会では、「心で走る」と題して、ユーモアたっぷりに、会場の笑いを誘いながら、御自身のランナーとしての経験、日本のマラソン界の現状、一年間の延期がオリンピック選手に与えるプレッシャーなどを語りかけてくださった。

(ホーイ記念館一階のラウンジで、外はあいにくの雨)

 

講演会終了後、会場をホーイ記念館に移して、私が聞き役にまわる形で、後援会誌『GROWTH』の対談が行われた。早稲田大学競走部の恩師中村清コーチとの出会い、中村コーチから受け継ぎ、伝えたいことなどを中心にお話を聞いたが、中村コーチからマラソンランナーとしての技量や戦術を学んだだけではなく、聖書を教えられ、座禅を組んで心の修養を行ったとのことであった。とくに聖書については、人間は一人では生きられない、神は試練と共に逃れる道をも備えて下さっているなど、そのエッセンスが次から次へと口にのぼった。

(才能と領域は全く異なるが、70年代後半に恩師から厳しい指導を受けた者同士)

 

瀬古さんは現在、マラソン界全体の牽引役を務めており、オリンピック選手選考の透明化、日本の若手選手の底上げに尽力されている。誰にでも分け隔てなく、試練に耐えながらその使命に従事されているお姿には、若い頃に身に着けたものが反映されているように思わされた。