私立大学と地方創生

18日に土樋キャンパスにあるホーイ記念館において、産官学連携によって地域人材を育成するための新しいプラットフォームの更なる締結式を開催した。このプラットフォームについては、昨年12月の学長ブログにおいて、「産官学連携協定締結式」という記事で紹介したが、今回、名称が正式に定められ、新しい仲間を迎えた。

(当日はプラットフォームの議長を務めた)

 

名称は、その名も「みやぎ・せんだい地域人材育成共同事業プラットフォーム」であり、新たに東北福祉大学、東北文化学園大学と、一般社団法人宮城県情報サービス産業協会(MISA)が加入したのである。これで、県下11大学、宮城県、仙台市、七十七銀行、仙台銀行、仙台商工会議所、そして宮城県情報サービス産業協会という6つの機関が集積したことで、プラットフォームはおそらく、国内最大規模となった。

(中央に遠藤信哉宮城県副知事、郡和子仙台市長、私の横は、千葉公慈東北福祉大学長、副知事の隣は加賀谷豊東北文化学園大学長、その隣は、石森令一MISA会長)

 

今回、11大学を取り囲むように、自治体はもちろん、金融機関に加えて、特に情報産業が新たに加わったことは、みやぎ・せんだい地区の経済発展を展望するうえで、大きな意味を持つ。大企業や市場が大都市圏に集中する中で、地方において、AI(人工知能)やデータサイエンスの訓練を受けた若い人材が豊富に存在することは、必ずや中央の産業や市場と連結した地方産業の発展を可能にするからである。中央や世界各地の産業や市場の動向をネットによって取り込むことのできる地方の勤勉な労働力により、工業、農業、漁業において産出される高品質な商品は、地域間格差、すなわち、原料や製品の輸送コストを補って余りあるものとなるからである。

(最後は全員で記念撮影)

 

私たち地方の大学人に課せられた役割はある意味、そのような地方創生のための人材の育成でもある。現在、「地方創生」という名を冠した地方国立大学の定員増が実施されようとしているが、「地方創生」の人材育成に国立や私立の区別はない。実際、「みやぎ・せんだい地域人材育成共同事業プラットフォーム」に結集した高等教育機関は、仙台高等専門学校を除いて、すべて私立大学である。先進的な資本主義国において、地方在住の市民の富、すなわち、「民富」(commonweal)の増大こそが健全な資本主義の発展を生み出したことを忘れてはならない。