緊急事態宣言下の入学式

仙台では68年ぶりだというが、3月中に桜の花が満開になった。年度替わりの今日は晴天にも恵まれて絶好の入学式日和である。本学は、新型コロナウイルス感染症拡大防止を考慮して、毎年利用している仙台市体育館(カメイアリーナ仙台)において、来賓や保護者にはご遠慮願い、2回に分けて入学式を挙行する予定であった。

(ラーハウザー記念礼拝堂の外壁に刻まれた校章と満開の桜)

 

ところが、人口10万人当たりの感染率が全国ワーストワンに増大したことを受けて、宮城県・仙台市は3月18日に共同緊急事態宣言を発出。急遽、会場を土樋キャンパスにあるラーハウザー記念東北学院礼拝堂に変更して、代表者のみの入学式とした。2807人の新入生、その保護者の皆様には、同時配信の映像を見てもらう形での、何とも心苦しい入学式である。

(いわゆる「三密」を回避しながらの代表者入学式)

 

実は、昨年度もこのような代表者入学式であった。しかし、今年度は、手探りで対峙した昨年度と異なり、変異株が出現しているとはいえ、目には見えないCOVID-19の性質を経験上徐々に学習できるようになってきている。実際、本学は11000人以上の学生を擁しているが、昨年度はオンラインによる遠隔授業と対面授業を上手に組み合わせて、クラスターはもちろん、学内感染もなんとか回避してきた。

(新入生代表者挨拶。写真は文学部の久保舞子さん、2回に分けることを予定していたので、もう一人は法学部の岡村琉惟君)

 

ワクチン接種の遅れや迫りくる第4波のことを考えると暗澹たる気持ちに襲われる。だが、感染状況を細目に観察し、経験を活かしながら、学生たちをキャンパスに入れ、少しでも対面での授業を多くしていきたい。さもなければ、対面的な接触によってもたらされる学生たちの人間的成長が2年に亘って止められることになり、この損失は、必ずや大きな歪(ひずみ)として、将来に禍根を残すことになるからである。

(本館も礼拝堂と同じくアメリカ人建築家J.H.モーガンの設計である。本館裏側の桜も満開である)

 

今日の入学式告辞では、「このような困難な時代だからこそ、基礎的な学力である教養と専門的な知識と技能をしっかり身に付け、その知識や技能を活用できると同時に、他者とのコミュニケーション能力をもち、責任ある行動をとれる人間になる必要がある」と新入生たちにエールを送った。大学長として、自らその責任を果たしていきたい。