福島県沖地震を経験してー「東北を日本のスコットランドに」-
13日深夜、福島県、宮城県両県は、最大震度6強の地震に襲われた。私は自宅の書斎にいたが、耐震補強をした書架から本がバタバタと落ちはじめたので、椅子を離れ、玄関近くの廊下の壁につかまりながら揺れが収まるのを待った。幸い大きな揺れは1回で済んだが、10年前の東日本大震災以来の経験である。その後、担当課長から、大学の状況を知らせる連絡が入り被害の少ないことを確認した。
(本館と5号館をつなぐ通路の本館側ドアの壁面にクラックが生じている)
翌朝、多くの方々からお見舞いのラインやメールをいただいた。仙台にいる私や東北学院のことを気遣ってくれるのはありがたいことである。月曜日には、各部署からの報告があり、教職員、学生はいまのところ無事であり、建物損壊も礼拝堂など伝統的な建築物を中心に何箇所かにみられる程度との報告がなされた。他方、知の生産現場である教員の研究室はどうかというと、本が散乱し、ドアを開けて中に入ることのできない教員がいる反面、書架に落下防止策を施している教員はすぐにでも研究室が利用可能であった。総じて言えることは、東日本大震災の経験から学習し、震災対策をしっかり施しているかどうかが重要なのである。
(シュネーダー記念図書館の書架。落下防止策を施している棚からの落下はない)
降雪や寒さ、地震といい、東北の自然環境は確かに厳しい。そのような時、仙台に東北学院を創設した押川方義初代院長の理想を改めて思い起こすのである。「東北を日本のスコットランドに」。イングランドよりも自然環境の厳しいスコットランドではあるが、18 世紀後半からのスコットランドは、学術、科学、産業においてイングランドを凌駕するほどの勢いを示し、いまなお独立の気概に溢れている。東北地方において、東北学院の果たす役割は大きい。