
秋季特別伝道礼拝
キリスト教による人格教育を建学の精神とする本学では、学期に1回特別伝道礼拝が開催されている。秋季特別伝道礼拝では、学外から現実の課題と取り組んでいるキリスト者を説教者としてお招きして、学生とともに耳を傾ける機会としている。この秋は、五橋キャンパスに恵泉女学園大学教授で、写真家、ノンフィクション作家として活躍している桃井和馬さんを、土樋キャンパスには、平和を祈る七夕市民の会代表で、仙台YMCA会員の油谷重雄さんをお招きすることができた。
(桃井さんは、東日本大震災の折にも、停電中の仙台に報道陣の一員としていち早く駆けつけて取材をし、『東日本大震災記録写真集』(第三書館・2011年6月)を刊行した)
桃井和馬さんは。4年前に現在の職場に就職する前は、フリーランスのジャーナリストとして世界140か国を駆け回り、『希望の大地』、『破壊される大地』(いずれも岩波書店)をはじめ数十冊の著作を刊行されている。説教題は「人生は巡礼だ―スペイン・サンディアゴ巡礼とインマニュエルの神」であり、世界から35万人の人びとを引き寄せ、ご本人も個人として3回、学生引率者として8回も行ったことのあるスペイン巡礼の旅の話をされた。日常忙しく、利便な社会で生活している現代人が、イエスの弟子同様に、着替え1日分を背負い、わずかな食糧をあてにして、2週間歩き続けることの意味や発見が語られた。
(当日のスライドの一コマ)
油谷重雄さんは、8月6日から8日にかけて全国から200万人が見学するという仙台七夕の折に、世界平和や核兵器廃絶の祈りを込めた千羽鶴や吹流しを飾り付ける運動を50年間続けてこられた。仙台七夕が広島原爆記念日に始まり、長崎原爆記念日の前日に終わることから、仙台市民はもとより、全国各地からの賛同者も増え、運動の輪が広がっている。説教題は「平和七夕50年の歩み」であったが、戦後80年の記念の年にいまなお世界では戦争が継続し、核の行使が現実化している。太平洋戦争の終結から約60年を経て生を授かった学生たちが「平和を作り出すものは幸いなり」という聖書の言葉や身近な活動をどう受け止めたであろうか。
(礼拝後油谷さんとの記念撮影。右から原田浩司宗教部長、千羽鶴のレイを手にした油谷さん、私、司式の岡田勇督宗教主任)