第69回大学教職員修養会

第69回大学教職員修養会

コロナ禍まで「建学の精神」について学び合う教職員修養会は泊まり込み行事として開催されてきたが、近年は日帰り行事となった。とはいえ、昨年度は仙台郊外の泉パークホテル、今年度は風光明媚な松島湾を見下ろすホテル大観荘で開催された。日常業務で忙殺されるキャンパスの喧騒を離れてのリトリートとして、自ずと修養会のボルテージは上がった。

(最後に各分団の書記から報告を聞く。壇上左側から、森本学長、私、原田大学宗教部長)

 

69回を数える本年度は、講師に東京女子大学森本あんり学長を迎え、キリスト教大学の特徴でもあるリベラルアーツ教育について、講演を2本聞いた後に、百数名の参加者が分団討議を通して、互いにテーマを共有することができた。森本学長は、知る人も多いアメリカ神学・思想史研究の第一人者である。プリンストン神学大学大学院でPh Dを取得後、母校の国際キリスト教大学(以下、ICUと略記)で30年間奉職し、学務副学長で退職、2022年より東京女子大学第17代学長として活躍中である。学長就任後、昨年度より東京女子大学を現代教養学部という一学部6学科に再編し、また全く専門の異なる教員2名が同一のテーマについて授業を進める「知のかけはし科目」導入、学生たちの好評を博している。現在、女子大学離れ、教養離れの傾向が著しいが、東京女子大学においては持ち直し、その傾向に歯止めをかけている。研究においては、自分の専門をわかりやすく伝えることを心がけ、選書・新書の出版も多く、『反理性主義 アメリカが生んだ「熱病」の正体』(新潮選書)は、トランプ大統領台頭の文化的背景を説明し、ベストセラーになり、激職の傍ら言論界でも活躍している。

(昼食を出席者一同で共にする。三陸産の食材による美味しくて、豪華なホテルのお弁当でした)

 

2本の講演は、1本目がICUの教育理念と実践、2本目が東京女子大学の教育理念と実践であり、本学は両校のようなリベラルアーツそのものの大学とは異なるとはいえ、同じキリスト教教育を建学の精神として、リベラルアーツと専門教育を施す大学として、多くの教職員の意識を喚起するものとなった。日帰りの修養会であったが、リトリート効果もあり、充実した研修の機会となった。