
リスキリング・リカレント大学院改革記者発表会
東北学院大学大学院は、2026年度より二つの大きな改革を実施する。お披露目のための記者発表会が未来の扉センターで開催された。第1の改革は、大学院経営学研究科経営学専攻の開講科目を「税務・会計プロフェショナルコース」と「経営者・実務家スキルアップコース」を分け、社会人のリスキリング・リカレントを目的とした教育研究を目指す。また多忙につき大学院入学を躊躇する社会人のために、経営学研究科では、単位履修プログラムを開講し、社会人や本学学生に限られた数の大学院の授業を履修してもらい、将来正式に入学した暁には同プログラムで履修した単位を卒業単位として認定するという試みを併せて開始する。
(経営学研究科のコース制について説明する折橋伸哉同研究科長)
第2の改革は、大学院人間情報学研究科人間情報学専攻の中に「公認心理師コース」を開設し、公認心理師の養成人数を現行の3名から8名に拡大する。それに伴い、実習場所として、学内に「東北学院大学心理相談所」(仮称)を設け、市民を対象としとした相談サービスも開始する。
(人間情報学研究科のコース制について説明する神林博史同研究科長)
こうした社会人の取り込みを目的とした大学院改革の背景には、高度専門家人材の養成の必要性がある。これまで大学院は、研究者の養成を目的としていたが、少子化に伴い、その規模は縮小する一方である。他方で、世界の発展は顕著で、事象が高度化・複雑化し、高度専門家人材を必要としているにもかかわらず、日本はそれに対応できていないという問題点がある。確かに大学進学率が高まったのに、高度専門家人材を輩出する大学院卒業者の割合は、先進国の中でも少なく、日本の国力は徐々に衰退しつつある。
(東北学院大学心理相談所(仮称)について説明する金井嘉宏大学院人間情報学専攻主任。後ろは司会の下原恵美佳学務部大学院課長)
リスキリングとは仕事を続けながら学び直しをするもので、リカレントとはいったん仕事を辞めて学び直しにより再就職するものである。いずれにせよ、本人の強い勉学意欲が必要であるし、地域や職場や家庭の支えも必要である。東北学院大学大学院は、今回のコース制の新設により、東北という地域に高度専門人材を輩出したいと考えている。地域の事情に通じ、高度な知識と判断力を持ち合わせた人材が身近にいることが地域を豊かにするのである。なお記者発表会では、今年度より設置され、すでにリスキリング・リカレント人材を受け入れている大学院経済学研究科経済データサイエンス専攻の事例を報告し、社会人大学院生全員を対象とした年間30万円の給付型奨学金の新設を発表した。