
大阪万博会場での国際交流協定調印式
大阪は猛暑の只中であった。ジェノヴァ大学との国際交流協定調印式が夢州の万博会場イタリア館で行われ、署名をしてきた。ジェノヴァ大学の創立は大変古く1481年に遡る。港湾都市ジェノヴァが地中海貿易で栄え、クリストファー・コロンブスが大航海時代に乗り出していく頃である。現在でも、ジェノヴァ自体は後背地に工業都市ミラノ、トリノを抱えたイタリア最大の港湾都市であり、大学はイタリア北西部のリグーリア州唯一の大学として、海洋学はもちろんのこと、芸術文学、工学、経済、経営など20の学部を擁し、発展を遂げている。今回は、大阪万博イタリア館におけるリグーリア州キャンペーンの一環としてジェノヴァ大学に焦点があてられ、本学との国際交流協定書調印式が万博会場で行われた次第である。
(会場の大阪万博イタリア館。人気のために予約で入場待ちの大勢の人びとの長蛇の列である)
ジェノヴァ大学はすでに日本の大学との間に学術研究・教育を通じた実績をもち、その紹介もイタリア館で行われていた。またリグーリア州の大学として、産官学金の連携による地域連携・国際交流が盛んである。最近日本においてようやく文部科学省により地域における産官学金の連携が高等教育政策として打ち出されつつあるが、イタリアにおいて大学の地域連携政策は先行し、実績を挙げている。今回の調印式にリグーリア州の経済発展金融機関の長官が出席しており、日本でいえば、都道府県に当たる地方政府が高等教育の産官学金の連携による地域連携・国際交流の旗振り役なのである。中央集権の日本と地域分権のイタリアの歴史と文化の違いを垣間見た次第である。本学は、ジェノヴァ大学と教員の学術交流からまずは着手していきたい。
(右から、本学との協定書署名式に出席したMichelucci教授(英文学)、Gaggero教授(地学)、私、倉田洋学長室長(経済学)、先方の署名人のDameri教授(ビジネス学))
大阪EXPO会場は、暑さの中大変な人出であった。人気のイタリア館を案内していただいたが、イタリアでも見ることが難しい国宝級の芸術や美術品が演出・出展されていた。私の研究のフィールドであり、産業革命・万国博覧会発祥の地イギリス館を覗いてみたが、コンピュータグラフィック(CG)作品の放映に留まり、派手ではあるが、空虚感を否めなかった。万博は、その国の文化芸術、工業製品の出品展示にいかに多くの人びとの関心を引き寄せられるかである。時間がなかったので覗けなかったが、日本企業のパビリオンの展示物が気になるところである。
(万博会場入口で万博の公式キャラクター「ミャクミャク」が迎えてくれる。向こうは木製の大屋根アーチ)