DXにかける教員の熱気:日本教育工学会秋季全国大会
土日にかけて交通至便な五橋新キャンパスにおいて2つの大きなシンポジウム、学会が開催された。一方は日本弁護士連合会(渕上玲子会長)の業務改革シンポジウムであり、他方は日本教育工学会(堀田龍也会長)の2024年秋季全国大会である。前者は500人、後者は900人の登録者を数えた。全体会は、土曜日が日弁連、日曜日が日本教育工学会の順で1000人収容の押川記念ホールで行われ、前者は「会場校」を代表して、後者は「当番校」を代表して歓迎のあいさつをした。
(押川記念ホール1階の学食で開催されたウェルカム・レセプションで寛ぐ参加者。キャンパス内禁酒という本学創立以来の伝統にしたがってレセプションはノンアル)
なかでも、衝撃だったのは、日本教育工学会の躍進である。現在、学会はどこもそうであるが会員の高齢化や減少という問題に直面している。今年創立40周年を迎えた日本教育工学会にかんしていえば、1984年の創立時の716名から現在3700名へと5倍の伸びである。日本教育工学会の躍進は、コロナ禍も含めてまさにこの間にPCが普及しはじめ、一人一台が初等中等教育におけるGIGAスクール構想、高等教育におけるBYODによって実現し、ICTを使って授業の質や形が大きく変化していることを如実に示している。学長特別補佐であり、本大会の実行委員長でもある稲垣忠文学部教授から、大会のプログラムや大会風景の写真を見せてもらった。秋季全国大会は、春季全国大会と異なり、発表は対面口頭報告ではなくポスターセッションやオンデマンドであるが、大学教員のみならず、中高小の教員との共同研究や実践報告が390件もあった。また日本教育工学会には教員が専門としている他の学会から新規参入する会員も多く、秋季全国大会では、それらの新規会員を対象とした論文作成のためのチュートリアルセッションも設けられている。
(ポスターセッション会場において、所狭しと列をなして研究発表を覗く参加者)
企業は淘汰を免れるためにデジタル・トランスフォーメーションを余儀なくされるが、そのような競争原理が働かない教育や行政の現場はDX化の遅滞が著しいと見なされてきた。しかしながら、授業を改革・改善したいという教員の想いは、プロフェッショナルとして熱いものがある。そこに日本の未来がかかっている。課題は、施設・設備を充実させ、特定の教員の過重労働にならないようにして、DXをどのように授業に取り込んでいくかなのである。