アジア未来会議の招致

アジア未来会議の招致

コロナ禍を挟んでこの数か年海外出張の機会に恵まれなかったが、タイのバンコクで開催されている第7回アジア未来会議に参加している。アジア未来会議とは、公益財団法人渥美国際交流財団(渥美直紀理事長)が主催している若手研究者のカンファレンス(国際学術会議)である。同財団は今年で創立30周年を迎え、アジア諸国から日本の大学院で学ぶ留学生を対象に、国費奨学金が在籍年限の都合で打ち切られても、博士号を取得するまで奨学金を提供してきた。その恩恵に与った留学生は、53ヶ国400人を数える。そのためか、今回バンコクのチュラーロンコーン大学で開催された第7回の大会では、留学経験者や日本への留学を希望する若手研究者400人が集まり、200の学会発表が活発に行われた。

(会場となったチュラーロンコーン大学。都心にあり、伝統的な建築様式の美しい校舎が並ぶ権威ある国立大学である)

 

さて、どう見ても「若手研究者」とは程遠い私がアジア未来会議に参加した目的は、2年後の2026年の第8回大会を東北学院大学で開催することになったので、学長として招致のスピーチをし、実際に大会を見聞することにある。今回、国際学部の渡部友子学部長と松谷基和教授も同行しており、2年後とはいえ、400人規模の国際カンファレンス本学で開催することは、本学にも数人いる渥美財団の元奨学生の外国人教員はもちろん、2026年に第一期生が4年生になる国際学部生にとって、研究の成果や語学力やコミュニケーション能力を試す絶好の教育的機会を提供することになるからである。

(今回の第7回大会議長である明石康元国連事務次長と。外交官としての明石さんの平和構築のための活躍は有名であるが、93歳を過ぎても健在である。アジア未来会議は、第1回から毎回出席している)

 

 

第7回大会のテーマは、コロナ禍からの立ち上がりという意味において、“Reconnection and Revitalization“(癒しと蘇生)であったが、第8回大会は”Space and Distance“(空間と距離)である。東日本大震災や原子力発電所の事故、疫病による被災がもたらした分断と分裂の経験をどう生かすか。仙台市をはじめとする地元の自治体・企業とのつながりにおいて基金を募り、市民の参加をどうするか、渥美財団とともに第8回大会を成功に導いていきたい。

(開会式で祝辞を述べた方々。右から明石議長、渥美理事長、Chotiudompantチュラーロンコーン大学芸術学部長、大鷹駐タイ日本大使、朴駐タイ韓国大使、Wangstrangboonバンコク副知事。副知事は若い方で「バンコクの未来」と題して開会講演をした)