東北、豊かで多彩な民俗芸能の地
仙台に移り住んで6年目を迎えている。仙台神学校から東北学院へと改称した19世紀末、宣教師たちは東北学院のことを‘North Japan College’と呼び、現在でも本学学生の90%以上は東北6県の出身であり、卒業後も50%以上が地元である東北6県に就職する。東北学院は私立であるが、地方創生への想いや、人口減少に抗して、私は、道州制を文字って「みちのく州立」東北学院と叫んでみたい思いにかられる。
(アイキャッチは青森ねぶた、上から仙台すずめ踊り、秋田竿燈、山形花笠踊り)
この両日「東北絆まつり2024仙台」が開催された。このイベントは東日本大震災の犠牲者への鎮魂や東北の復興を願う「東北六魂祭」の後継として2017年から始まり、東北の県庁所在地を一巡して、再び仙台で開催された。「青森ねぶた祭」「秋田竿燈まつり」「盛岡さんさ踊り」「山形花笠まつり」「仙台七夕まつり」「福島わらじまつり」が笛や太鼓の音とともに中心街を練り歩き、6つの祭りを一体として視ることが出来るというので、57 万人を越える市民が絆まつりを楽しんだ。
(上から、福島わらじ、盛岡さんさ踊り)
それにしても、東北のまつり(民俗芸能)はどうしてかくも豊かで、多彩なのであろうか。たとえば、豊かさという点では、本学文学部金子祥之准教授のゼミナール(民俗学)は福島の被災地に残された「田植え踊り」について、伝承と存続という観点からフィールドワークを重ねており、多彩さという点では、稲作を日本の基層文化とみなし、東北をもそのように描こうとした柳田国男に対して、赤坂憲雄氏が『東北学・忘れられた東北』(岩波現代文庫)を記している。しかしながら、東北の民俗芸能は、東北6県で盛り上がっていても、案外世界には知られていない。インバウンドで来日する外国人旅行者のわずか1%しか東北に立ち寄らないという。そういえば、沿道において外国人観光客を目撃することはあまりなかった。地域の大学として、文学部や国際学部を擁する東北学院大学に課せられた課題は大きい。