LINEヤフー(株)顧問小澤隆生氏講演会

LINEヤフー(株)顧問小澤隆生氏講演会

新キャンパスの開学を記念して、小澤隆生さんを東北学院大学にお招きして講演会を開くことができた。小澤隆生さんは現在、日本最大のインターネット企業LINEヤフー(株)の顧問であり、通販大手ZOZOの社長でもある。1972年生まれの51歳。早稲田大学を卒業して、IT会社に就職。Google革命の波に乗り、数年後に起業してAMAZONをモデルに古本の通販会社を設立。その会社を楽天に売却するや自らも楽天に入社し、三木谷浩史会長の下で東北楽天野球団事業本部長として、仙台にプロ野球チームを立ち上げ、楽天退職後は、ベンチャーキャピタリストとして起業家への事業支援を行うも、今度はソフトバンクに入社。孫正義会長の下で、eコマースの拡大に従事し、電子マネーPayPayを導入、ヤフー社長として若者に人気のあるLINEとの合併を実現した。経歴から分かるように、4半世紀の間、起業家あるいは実務家として日本のIT革命を一貫して牽引してきた方である。

(押川記念ホールでの講演は、ご自身の経験を交えて、情報の大切さのみならず、課題を分解し、本質を見極め、徹底することの大切さ、失敗することの大切さ、切磋琢磨する仲間の大切さ、等々多岐に及んだ)

 

講演は来場した340人の聴衆の心を掴むものであった。自らが大学卒業後インターネットに賭け、起業せざるを得なかった理由。楽天がプロ野球参入の年に、戦績がパ・リーグで6位であったにも関わらす、興行成績は1位であった理由。ベンチャーキャピタリストとして、投資した19社中11社を一部上場に導いた理由、等々。すべてが明快で説得的であり、講演時間はあっという間に過ぎ去った。刺激的であったせいか、講演後、本学の学生から質問も飛び出し、閉会後も会場を移して、在仙のIT企業経営者や情報学の教員の質問にも答えていただいた。

(「未来の扉」センターで握手を交わす。文字通り、明るく、元気な方で、私も明るさと元気をいただき、励まされるような勢いを感じた)

 

日本の技術力はなお高度な水準にあるものの、集団主義や同調圧力の強い精神風土によって、技術革新(イノべーション)やそれに実効性を与える起業(アントレプレナーシップ)は、難しい課題を抱えている。DX革命の時代、特にITを利用して、より発展した社会や地域を作るには、失敗をしてはならないという「守りの教育研究」ではなく、失敗しても本質を見極め課題解決に再挑戦していくような「攻めの教育研究」を促進していかなければならないことを学ばせていただいた。