「✕プログラム」キックオフシンポジウム

「✕プログラム」キックオフシンポジウム

「Xプログラム」という言葉の意味が分かる読者は、高等教育政策にかなり通じた人である。「Xプログラム」とは、今年度急遽始まった文部科学省のデジタルと掛けるダブルメジャー大学院教育構築事業のことである。大学院の人文、社会科学系の研究科にデータサイエンスとのダブルメジャー(複数専攻)を設置することを目的として、補助金を支出するというものである。東北学院大学大学院は、経済学研究科(アレイ・ウィルソン研究科長)が人間情報学研究科(櫻井研三研究科長)と掛け合わさって、「東北の地域経済発展を担うデーターサイエンス人材育成」を掲げてダブルメジャーの教育事業を提案し、採択された。

(キックオフシンポジウムのパネリスト。左から、司会の本学坂本泰伸地域連携センター長、私、仙台市経済局産業政策部長杉田剛氏、株式会社エヌエスシー常務取締役髙谷将宏氏)

 

データサイエンスの研究と教育は、近年ようやく日本においても活発になされるようになってきた。その目的は、5Gソサイエティ時代において、高速の大量データが携帯やPCを通じてやり取りされるようになったが、そこに蓄積される膨大なログ(履歴)をそのまま放置するのではなく、データ処理、データ分析を施して、そこから価値創造を図ることにある。2017年の滋賀大学データサイエンス学部の設立を皮切りに、データサイエンスの重要性が急速に認識され、来年度は学部生レベルであるが、本学の新学部である情報学部データサイエンス学科をはじめ9大学に学部学科が設置される。今後東京23区内の大学においても、この分野に関しては、規制が解除され、定員増を伴う新学部新学科の設置が認められる勢いである。

(文部科学省からは、高等教育局専門教育課企画官鈴木顕氏がzoomで参加してくださり、本学大学院のプログラムへの期待を込めて、「Xプログラム」の事業内容を説明した)

 

東北・北海道は、全国において、ITの普及率は最も遅れ、人口の減少率が最も高い地区である。今回の「Xプログラム」において、採択されたほかの5大学は、大学院で完結するダブルメジャープログラムであるのに比して、本学大学院のプログラムは、ダブルメジャープログラムに企業、自治体との連携を組み込んだプランとなっている。本日ウェスティンホテル仙台で開催されたシンポジウムでは、地域の企業、自治体からも登壇していただき、企業や自治体のニーズに耳を傾けて、今度の大学院教育事業構築の参考にしていこうというものである。仙台市や東北各県から院生を受け入れ、ダブルメジャーの知識と手腕を備えた高度専門人材として地域に戻し、地域の経済発展を牽引する、そのような「未来」に向けての文字通り「手始め」であった。

(本学からは、学長室長の倉田洋経済学部教授が本学大学院のプログラムの事業内容を説明した)