仙台の冬の楽しみ―広瀬川の冬鳥たち―

仙台の冬の楽しみ―広瀬川の冬鳥たち―

東北地方の日本海側や内陸では雪が積もるが、太平洋側の仙台において積雪の機会は毎冬、1、2度程度である。しかし、風の強い日には、晴天の折でも、近郊の山々の稜線から、「蔵王降ろし」とか「泉降ろし」といわれる粉雪が舞い散ることがある。

(コハクチョウ。灰色の姿をしているコハクチョウは、今年孵化したからであろう)

 

雪が積もらない分、田畑において容易に餌にありつけるせいか、宮城県には、県北の伊豆沼、内沼をはじめとして冬鳥の有名な飛来地が多い。なんと、仙台の街中を流れる広瀬川にも、ハクチョウを始めとする冬鳥が飛来するのである。私は、これまで雪の深い北海道や大都市圏の横浜で暮らしてきたので、冬鳥の飛来とは無縁であった。至近距離において冬鳥と接することのできる仙台は、冬の風物詩に出会える至福の街である。

(マガモ。留鳥のカルガモと異なり、大きく、羽根にはツヤがある)

 

夏の間留鳥として、広瀬川にとどまっているカルガモやアヒルと一緒に、ハクチョウやマガモ、キンクロハジロ、オオバンなどの野鳥が、撒き餌さを求めて泳ぐ姿は「アーバンアニマル」の原型といえるかも知れない。とはいえ、人命やインフラの破壊を目当てに国境を越えて飛来するミサイルと異なり、寒くなると飛来し、暖かくなると飛び去って行く冬鳥たちは、悠久の自然の営みを告げる平和の使者なのである。これ以上、地球の生態系を破壊してはならない。

(キンクロハジロ。オスのほうが白と黒のコントラストが鮮やか)