保護者のための就職懇談会―私が薦めるJCC―

保護者のための就職懇談会―私が薦めるJCC―

土曜日の午後は、ホーイ記念館において開催された「保護者のための就職懇談会」に出席し、挨拶をした。近年、就職については、就活生の伴走者である保護者にも状況を理解してもらうために、東北学院大学はこのような懇談会を各キャンパスで開催しており、今日は土樋の文系4学部から200名を超える保護者が集まった。

(ホーイ記念館一階エントランスの受付風景。受付右は、武田三弘就職キャリア支援部長)

 

コロナ禍にあっても、本学の昨年度の就職率は95.4%であった。この数字は、同じくコロナ禍にあった過去の2ケ年度を0.6ポイント押し上げるものであり、特に理系の女子は100%の人気であった。私は、仙台学長会議の議長として、6月から7月にかけて、宮城県の自治体や経済団体に「コロナ禍における就職支援の要望書」を手交したことを報告した。

(大教室に多くの方が駆けつけてくださった。この日は東京出張のために挨拶だけで失礼した)

 

さて、保護者に理解してほしいのは、就職に関して、30年前の常識は通用しないということである。その一例として、私の長い教員生活の経験から、2つの企業から内定が出た場合、どちらの企業を選ぶべきかという学生からの相談には、教員として乗らないことにしているという話をした。過去に私が薦めた企業が倒産し、私のアドバイスに反して学生が選んだ企業が成長したという苦い経験があるからである。変化の激しい時代に、保護者の世代が持つ常識はその後も通用するとは限らないし、いわんや就職する学生が定年を迎える40年後には、なおさら当てにならないという事を自覚して、過去の常識に囚われず、愛情をもって就活生に伴走してほしい旨お願した。

(「近年の就職環境と本学の支援について」と題して話をする福田克俊就職キャリア支援課長)

 

では、どこに基準を設けて職業を選ぶべきなのか。私はこれまでもキャリアの授業において述べてきたように、JCCが大切だと説明した。Jとは、Jobの頭文字で、仕事による「収入」を意味する。次のCとはCareerの頭文字で、その職業によって獲得する「専門性やスキル」を意味する。最後のCは、英語で職業を表現するCallingの頭文字で、もともとは「天職」、「召命」といった意味があり、「ヤリガイ」を意味するのである。私は、このJCCこそ、いつの時代においても、職業選択の基準たりえるものだし、「三位一体」として、その要素の1つでも欠いていては、長続きしないことをお話した。このような説明会を設けることによって、保護者がどれほど「子離れ」し、学生がどれほど「親離れ」できるか楽しみである。