幼稚園・工学部60周年記念行事
季節は、晩秋から初冬に移りつつある。仙台も穏やかな晴天が続くが、気温は確実に低下してきている。そのような土曜日に、多賀城市にある東北学院幼稚園と大学工学部が60周年を迎え、記念行事が開催された。1962(昭和37)年、仙台市東部から塩釜に延びる仙塩工業地帯の真ん中に位置するJR仙石線多賀城駅前に幼稚園、その近くの米軍基地跡に大学工学部が設置された。東北学院が、幼児教育から理系学部を擁する総合学園になる事を意図してのことであった。爾来60年。幼稚園はその後工学部キャンパスの隣接地に移転し、園児を順調に増やし、また工学部も日本の経済成長の波の中で、2万5千人の院生学生の卒業生を輩出してきた。
(永井健三第二代工学部長の筆による「創意工夫」の石碑。永井教授はテープレコーダーを発明し、ソニーを発展させた。この石碑も五橋の新キャンパスに移設される)
今日の記念行事であるが、幼稚園(島内久美子園長)は、工学部体育館において劇団かかし座の影絵による60周年記念公演を観賞した。園児や卒園児、その父母ら100名以上が集まり、19世紀イギリスの作家ルイス・キャロルの作品である「不思議の国のアリス」を楽しんだ。影絵といっても、プロジェクターや音響、スクリーンを大胆に用いて、たった3人の団員が処せましと動き回り、子どもたちの目線を釘付けにした。かかし座は全国で多くの公演をこなしているが、流石という以外にない。
(劇団かかし座公演前のセット。真ん中の狭い正方形が影絵のスクリーンであるが、音響と映像によって、子どもたちの目線を釘付けにした)
工学部(岩谷幸雄学部長)は、来年度から五橋の新キャンパスに移転する関係上、多賀城キャンパスに別れを告げるために200名近い卒業生や教職員が礼拝堂に集まり、60周年記念式典と工学部同窓生の集いを開催した。多賀城市の深谷晃祐市長から来賓としての挨拶を賜り、学長、工学部長の挨拶のほか、機械TG会、コスモス(電気電子TG)会、応用物理TG会、TGしびる(建築工学)会の同窓会長からの思い出話を聞いた。礼拝堂のパイプオルガンは、来年度は泉キャンパス礼拝堂に移設されるので、多賀城キャンパス礼拝堂としては最後の機会ということで、今井奈緒子教授によるコンサートに同窓生たちは聴き入っていた。
(挨拶する深谷晃祐市長。市長は「淋しくなる」と言いながらも、これまでの工学部の地域貢献を評価し、大学との今後の関係への期待を述べてくださった)
幼稚園と工学部は人間でいえば「還暦」を迎えた。幼稚園は多賀城に残り、工学部は五橋に移るが、ともに東北学院という「ひとつのからだの肢体」として、今後ともその使命と役割を発展させていってもらいたいと願っている。