「義男(ギダン)さんと憲法誕生」(1)
鈴木義男(すずきよしお、1894-1963)は福島県白河出身、東北学院普通科(中学)卒業生のクリスチャン弁護士で、東北学院理事長を務めた法学者にして政治家です。「ギダンさん」とは、その鈴木が選挙民から親しまれた愛称であり、「ギダンさん」を取り上げたNHKのETV特集「義男さんと憲法誕生」が憲法記念日の前後に放映されました。
この番組、なにかと問題になっている日本国憲法の生誕、とりわけ、GHQ草案に対して、戦前・戦中の経験から当時の政治家たちが、何を付け加えて、自らの憲法としたかを分かりやすく再現している点で興味深く、その主人公が本学院出身の鈴木義男であるということも手伝って、少々長い文章で恐縮ですが、3回に亘って、ブログに私の感想を記します。
鈴木義男という政治家は、戦後政治史の中でそれほど注目されてきませんでしたが、日本国憲法に「平和」という言葉の挿入を提案した人物として近年、にわかに脚光を浴びるようになってきました。この番組では、帝国議会の帝国憲法改正案特別委員小委員会(以下、小委員会)における発言録を出演者によって復元し、GHQ草案に対して、当時の日本人政治家たちが、小委員会の総意をもって大胆に加筆や修正を加えていったことを刻一刻とドラマテックに描いています。なかでも、小委員会の議長で、のちに内閣総理大臣となる日本自由党の芦田均(斎藤洋介)と、憲法制定後片山内閣、芦田内閣で司法大臣、法務総裁となる日本社会党の鈴木義男(鶴見辰吾)の真剣なやり取りは、息を呑むものがありました。