セツルメント会創立70周年記念祝賀会

セツルメント会創立70周年記念祝賀会

本学のセツルメント会が創立70周年を迎えた。セツルメント運動は、19世紀イギリスに端を発し、日本においては大正デモクラシーの時期に各大学の学生が貧困地区に活動拠点を設け、貧民救済事業に従事したことに始まる。本学のセツルメント会は、弱者への奉仕を目的として、戦後の1955(昭和30)年に創立し、以来70年間、仙台キリスト教児童院、仙台西多賀病院を拠点に活動を続けてきた。

(祝賀会に先だって開催された記念式典におけるセツルメント会部長増子正地域総合学部教授の講演)

 

東北学院もそうであるが、戦後のキリスト教大学には、キリスト教的な学生活動を象徴する団体や行事が3つあった。第1は、YMCA学生部の運動である。この運動は、伝道・研究・奉仕を目指したが、大学紛争後は衰退し、本学においても姿を消した。第2は、新入生歓迎オリエンテーションキャンプである。教員と学生がわざわざ泊まり込みで歓迎行事を行う大学はキリスト教大学に多かったが、大学の規模拡大に伴い、オリエンテーションキャンプが行われなくなった。本学においては、オリエンテーションリーダーズを担い手に2019年までホテルや旅館を使って開催されてきたが、コロナ禍で中断し、それ以降は各種ガイダンスや各学部主催のウェルカムデーに置き代った。そして、セツルメント運動である。コロナ禍の際に、本学セツルメント会は対面活動が禁じられたがゆえに、部員2名まで落ち込んだという。しかしながら現在は、仙台キリスト教児童院、仙台西多賀病院以外に、荒町児童館、立町児童館に活動拠点を広げ、児童・こどものボランティア・サークルとして102名の現役会員を擁するまでに回復してきたのである。

(会場をイタリアンレストランMEINAに移して行われた祝賀会には多くのOBOG現役も参加し、楽しい祝会となった。最後は参加者一同肩を組んで部歌である「セツルソング」を大合唱)

 

「隣人を自分のように愛しなさい」(ルカによる福音書10章27節、他)という聖書の言葉に忠実な大学セツルメント運動が70年間も存続し続けていることは、キリスト教大学である本学にとって誇りである。その間、大学紛争、東日本大震災、コロナ禍に遭遇し、困難な時期があった。特に近年のコロナ禍は、施設にいる方々とセツラーである奉仕者学生を分断し、互いに苦しい思いをしたのではないだろうか。そのような困難を乗り越えて存続できたのは、神の祝福の下、セツルメント会がこれまで築き上げてきた現場との信頼関係、先輩・後輩の強い絆、そして70年の歴史と経験のなせる業だったといえる。セツルメント会70周年を寿ぐ次第である。