みやぎ半導体キャリアフェス

みやぎ半導体キャリアフェス

宮城県半導体産業推進室が主催するキャリア説明会が本学五橋キャンパス講義棟を会場に開催された。このイベントは、経済産業省の肝いりで「セミコントーク」という名称でも開催されており、神戸大学、北海道大学に次いで全国3番目の開催でもある。会場には、本学をはじめ、県内他大学、高等専門学校、高校の生徒、学生、教員、そして企業関係者300名以上が集まり、「予想外」の盛会となった。

(イベントはものづくり太郎さんの講演と司会で進められた)

 

「予想外」というのは、私自身の経験に基づくものである。大学で長年経済史を講じてきたが、私が教え始めた40年前には、トランジスタを得意としていた日本の半導体生産は世界生産の半分を超え、世界トップテンのうちNEC、東芝など6社が日本企業であった。半導体は「産業の米」といわれ、当時家電と並んで将来を明るく照らすものであった。ところが、日米貿易協定により生産量が減少、錚々たる企業が撤退し、バブルが弾けて、「失われた30年」が続いた。その間、パソコンの頭脳ともいうべきCPUは米国社製の独占となり、大学においても半導体研究室の存続が危ぶまれるような状態に追い込まれてきたのである。半導体生産の主役は、米国、台湾、韓国、ヨーロッパの各社に移り、現在日本は製造装置など得意分野があるとはいえ、世界生産の一割を超えるに過ぎない。

(「予想外」に多くの生徒、学生が集まった。生徒、学生たちは参加企業のレポートを発表していた)

 

しかしながら、半導体がスマホ、パソコン、自動車、家電、機械などに搭載され、それにより性能が飛躍的に向上することから、経済安全保障上きわめて重要な商品であることが再認識され、またAI やロボットという技術革新を促すことから、日本においても復活の兆しが見えてきた。今回のキャリアフェスには、レスター、キオクシア岩手、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング、東京エレクトロン宮城、TOPPAN、ラピスセミコンダクター6社から気鋭の社員が登壇し、生徒、学生に半導体産業の魅力を伝えていたが、そのうち3社の社員は嬉しいことに本学の卒業生であった。英語が必須の産業でもあり、学生たちは、初めて世界と出会ったとの感想を述べてくれた。半導体について、本学の教育・研究においても活性化し、東北学院創立150周年にむけての標語「ゆたかに学び、地域へ 世界へ」を実現していきたい。

(来学した宮城県のマスコットキャラクター「むすび丸くん」とハイタッチ)