学長表彰

学長表彰

本年度学術分野において顕著な業績を挙げた学生・大学院生を顕彰する学長表彰を行った。4件のうち3件の受賞者が出席し、研究発表の内容は興味深く、表彰後の懇談は大いに盛り上がった。

(表彰後の懇談。着想者は誰か、どのようなチームプレーが行われたか、教員の関与はどの程度か、将来の進路等々、話題は尽きない)

 

最初の受賞者は、第70回日本学生経済ゼミナール大会プレゼン部門において最優秀賞を受賞した白井ゼミナール3年の鈴木弘平君、舘田佳典君、宮腰菜瑠さんの3人で、発表題は「奨学金返還支援政策がUターンに与える効果の推定」である。少子化を食い止め、地方創生に有効な秘策をテーマとした画期的な論考である。もし、大都市へ流失し、奨学金の返済で苦しむ学卒を地方自治体であれ、民間であれ支援するなら、就職口や生活アメニティの問題が残るであろうが、Uターンする者の率が高くなる。この政策がもつ有効性についてさらに研究すべきであろう。

(白井ゼミの3人。左はゼミの指導教員の白井大地専任講師。マクロ経済学者であるが、キャノングローバル研究所の研究員でもある)

 

二番目の受賞者は、第70回日本学生経済ゼミナール大会プレゼン部門において第三位を受賞した篠崎ゼミナール3年の紺野智史君、齋藤由宇君、箱石大悟君の3人で、発表題は「最適なスプロール化達成のための防災税の提案」である。沿岸部への居住願望は津波のたびごとに見直されているが、野放図にしておけばまた新たなる犠牲者を生み出すことになる。本発表は、福島、宮城、岩手の沿岸部の津波被害を食い止めるために、地価に防災税を課すことによって、人命を守るための最適なスプロール化を図ろうとの提案である。

(経済学部篠崎ゼミの出席者2人。公務により欠席した指導教員の篠崎剛教授は、経済政策が専門であるが、大学院経済学研究科長として経済データサイエンス専攻の開設に尽力している)

 

三番目の受賞者は、国際カンファレンスICITEE2024 においてBest Paper Awardを受賞した大学院工学研究科博士前期課程2年の五十嵐隼斗君で、発表題は「ハイブリッド・マイクログリッドにおける電圧安定化効果の実験とシミュレーションによる研究」である。新キャンパスによる設備充実の早速の成果である。五十嵐君は新キャンパスに設置されたハイブリッドマイクログリル試作システムを用いて、再生可能エネルギー発電の利用促進のための2種類の蓄電デバイスの研究から、より効率的・安定的に電力を供給する方法を研究している。再生可能エネルギーといい、蓄電といい現在人類が直面している課題に有効な技術を生み出すことができれば、と期待している。

(大学院工学研究科電気工学専攻の五十嵐君と、論文指導教員の呉国紅教授。呉教授はグローバル教育センター長として本学の国際交流に尽力している)

 

以上、本年度の学長表彰は、東北地方がとくに直面している人口減少、防災・減災、再生可能エネルギーの有効利用という課題に少しでも答えたいという学生の研究に対して授与された。学生や院生が研究を通じて成長するという大学本来の営みが成果をあげていることに誇りを感じる。なお、当日欠席したが、会計学の著名な国際カンファレンスにおけるエッセイコンテストで5位に入賞した経営学部3年の二宮伶名さんにも学長表彰を贈賞したことを報告しておきたい。