三つの寄宿舎の閉舎式

今日は、東北学院大学の三つの寄宿舎に別れを惜しむ閉舎式が執り行われた。大学は2023年4月からすべての学部を仙台の都心部の土樋・五橋地区に集約するので、泉キャンパスに隣接する泉(男子)寄宿舎、泉女子寄宿舎、そして多賀城の工学部キャンパスに隣接する旭ケ岡寄宿舎を、今年度末をもって閉舎としたからである。

(各寄宿舎には、このようなチャペルが備わっている。私が式辞で取りあげた聖書の箇所はペトロの手紙2第3章8節「主のもとでは、一日は千年のようで、千年は一日のようです」)

 

閉舎式は、コロナ禍のなか、出席者を限定して、キリスト教の礼拝でもって、順次それぞれの寄宿舎のチャペルにおいて行われた。東北学院大学は、これまで寄宿舎を教育寮として位置づけ、毎週のように礼拝や、教員である舎監との食事や懇談の場がもたれきた。私も、礼拝での説教を担当し、盛大に祝われるクリスマス会に招待された。教育寮であることは、舎生たちにとって、寄宿舎がたんなる寝食の場としての「家」(house)の役割だけでなく、憩いや潤いの場としての「家庭」(home)の役割をもたせてきた。

(泉女子寄宿舎5階のチャペルの窓から見た泉寄宿舎:手前の建物。男子寄宿舎と女子寄宿舎の物理的距離は近いが、交流はないという。)

 

泉寄宿舎と工学部の旭ケ岡寄宿舎は、戦後のベビーブームに対応して、それぞれ1967年、1969年竣工の老朽化した建物であり、取り壊しとなる。他方、泉女子寄宿舎はまだ新しく1996年竣工の建物であり、個室バストイレ完備のホテルのような佇まいであり、現在、利活用を検討中である。

(泉女子寄宿舎はこのように新しく、閉舎後も利活用が期待される)

 

これらの寄宿舎には、親元を離れて、東北各県や北海道、北関東から来仙した大学1年生累計5000人が生活し、舎生は卒業後社会の各方面で活躍している。東北学院大学は、キャンパスを集約した後も、都心部に学生のための建物を用意して、遠方から来仙する学生や海外からのインバウンド学生の支援を引き続き継続していくことを計画している。学生の生活様式は大きく異なってきたとはいえ、それぞれの寄宿舎で培われたノウハウを活かして、潤いのある学生生活を送ってもらえればと考えている。

(旭ケ岡寄宿舎の立派な看板。2年前の新型コロナウイルス感染症の襲来により2人部屋は図らずも個室となった)